乙は、本物品の欠陥に起因して、第三者の生命、身体又は財産に損害が生じた場合は、乙はその処理解決にあたり最善の努力をするものとし、故意、過失の有無を問わず、その第三者又は甲が被った一切の損害(甲が第三者に支払った賠償額、弁護士費用を含むがこれらに限らない。)を賠償する。
①商品の「輸入者」は製造物責任の対象となり得ます(製造物責任法2条3項)。
製造物責任法の第三条は強行規定と介されていますので、本条による責任は負わざるを得ないと言えます。
ですので、対策としましては「PL保険」の付保によることになるかと思います。
ここで、重要となるのが販売者(海外事業者)への求償となりますが、輸入者は被害者救済のため販売者に代わって責任を負っているという代位責任という観点からすれば、販売者との契約書上で明確に求償権の存在につき規定しておく必要があると言えます。
②甲が被った一切の損害(甲が第三者に支払った賠償額、弁護士費用を含むがこれらに限らない。)へのチェック
「一切の責任」では損害がどの範囲に及ぶかが不明確と言えます。
ですので、「甲が被った損害のうち、本物品の欠陥と相当因果関係のある損害を賠償する。但し、逸失利益、営業利益の損失、事業の中断を含む間接的、偶発的、特別、または結果的損害への賠償責任を負わない。」等と制限すべきと言えます。
これは、製造物責任法の第三条では、損害賠償の範囲が確定されておらず、民法によることになり(同法6条)、民法の不法行為法によって解釈されるべきもので、これは、相当因果関係の範囲によってその賠償範囲を画定しようとする考え方が通説であり、判例(最高裁昭和49年4月25日判決等)もこの立場をとっていると考えられるからです。
上記が受け入れられなければ、但し以降を削除するのも一案と言えます。